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貴子になって程なく、
私と美代は お客さんの人気を二分するようになった。
なんのことはない、 目新しかっただけなのだが
面白くないのは 他の女性達。
ありがちでドラマにもならない話だが「いじめ」を受けるようになった。
妬むほどのモンじゃなかろうに、 と
私は 特に気にはしなかったのだが
美代はすっかり参っていた。
そして 寒々しい空気を敏感に感じ取って
私たち二人に 何かと気を使ってくれたのは 黒服のヒロとやまちゃんだった。
彼らも学生アルバイトなのだが
私の目から見て バイトの領域をすっかり越えた 縁の下の立役者。
体育会系丸出しのヒロと
クールな外見とギャグ好きのやまちゃん。
いいコンビで 彼らと会話するのを楽しみにしているお客さんも多数いた。
美代は それまで腐れ縁のように付合い続けていた彼氏と
いよいよ危なくなっていた。
「もう ええねん」 と 言っていたが
どうやら ヒロに惚れたのが 「もう ええねん」 の原因だったようだ。
美代は そうは言わなかったが 誰の目から見ても それは明らかだった。
なのに ある日 私は勢いでヒロと寝てしまったのだ。
◆◆◆ 目次 ◆◆◆
私と美代は お客さんの人気を二分するようになった。
なんのことはない、 目新しかっただけなのだが
面白くないのは 他の女性達。
ありがちでドラマにもならない話だが「いじめ」を受けるようになった。
妬むほどのモンじゃなかろうに、 と
私は 特に気にはしなかったのだが
美代はすっかり参っていた。
そして 寒々しい空気を敏感に感じ取って
私たち二人に 何かと気を使ってくれたのは 黒服のヒロとやまちゃんだった。
彼らも学生アルバイトなのだが
私の目から見て バイトの領域をすっかり越えた 縁の下の立役者。
体育会系丸出しのヒロと
クールな外見とギャグ好きのやまちゃん。
いいコンビで 彼らと会話するのを楽しみにしているお客さんも多数いた。
美代は それまで腐れ縁のように付合い続けていた彼氏と
いよいよ危なくなっていた。
「もう ええねん」 と 言っていたが
どうやら ヒロに惚れたのが 「もう ええねん」 の原因だったようだ。
美代は そうは言わなかったが 誰の目から見ても それは明らかだった。
なのに ある日 私は勢いでヒロと寝てしまったのだ。
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大学時代、 夜の街にいた。
友達の美恵が 水商売のバイトを始めた。
程なく 遊びにおいで、 と 声がかかったので
飲むのが好きな私は ほいほいと出向いた。
そして そこのママに 口説かれたのだ。
どうやら美恵は 新しい女の子を紹介する、 と 言っていたようだ。
名前、 どうする? と聞かれ
本名は イヤだ、 と咄嗟に思った。
美恵は ママの聞き間違いから 「美代」 になっていた。
働く話がまとまったものの
初めての水商売に 私はかなり腰を引いていた。
学校も年齢も内緒にして欲しいと お願いしといて
本名で店に出るつもりはない。
考えた挙句 貴子 になった。
私が生まれて 名前を付ける時、
本名と 最終的に一騎打ちになったと聞かされていた名前である。
その日から 週に数度、その店の中だけで
私は貴子になった。
◆◆◆ 目次 ◆◆◆
友達の美恵が 水商売のバイトを始めた。
程なく 遊びにおいで、 と 声がかかったので
飲むのが好きな私は ほいほいと出向いた。
そして そこのママに 口説かれたのだ。
どうやら美恵は 新しい女の子を紹介する、 と 言っていたようだ。
名前、 どうする? と聞かれ
本名は イヤだ、 と咄嗟に思った。
美恵は ママの聞き間違いから 「美代」 になっていた。
働く話がまとまったものの
初めての水商売に 私はかなり腰を引いていた。
学校も年齢も内緒にして欲しいと お願いしといて
本名で店に出るつもりはない。
考えた挙句 貴子 になった。
私が生まれて 名前を付ける時、
本名と 最終的に一騎打ちになったと聞かされていた名前である。
その日から 週に数度、その店の中だけで
私は貴子になった。
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