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- 04/16 [PR]
- 10/26 12. 初めての水商売 番外編 〜Y氏の後日談〜
- 10/24 11. 初めての水商売 その3
- 10/18 10. 初めての水商売 その2
- 12/27 9. 初めての水商売 その1
Title list of 三宮のお店 クラブM
三宮の店を辞めた後、 Y氏からは何度か連絡があった。
Y氏の謝罪したい、 という趣旨の訴えと 私の気のない返事。
ある日 ポートピアホテルでイベントのバイトの帰りに
迎えに来てもらうことにした。
足になってもらえるなら 話でも聞こうか、 と。
会うと 別に怒ってもいない自分を発見した。
以後 何度ともなく食事をしたり 飲みに行ったり。
話すと 適度に楽しい。 歌を聴くと 毎回くらっとくる。
しかし あの夜のことがあるので Y氏は 明らかに冗談以上のことは言ってこない。
ある日 ショーウィンドウに飾ってある白い麻のジャケットを見て
「今着てるのより あっちのがそのスカートに合うで」 と Y氏が言った。
確かに素敵だが 値段も素敵。
自分ではもちろん買えないし 買ってもらうのもイヤだ。
固辞したが 「どんでん返しは もうないから」 と 押し切られた。
これを皮切りに Y氏は装飾品を中心に いろんなものを買ってくれた。
Y氏は競走馬を持っており 勝つ度におすそ分けだと 現金もくれた。
私から アレが欲しい コレが欲しい、 とは言わなかったが
すっかりズルさを身につけたと思う。
とはいえ 実際のところ 私はY氏を好きになっていた、 一人の男性として。
Y氏の家族だとか 私の親とか そんな深いところは考えるまでもない
「好き」ではあったが。
酔った勢いでちゅー、 そして けらけらと笑いながら するっと逃げて。
逃げずに 懐に入り込んだら どんな香りがするのだろう。
そして ある日 六甲北一番地に誘われた。
当時は そこらのシティホテルより人気のあった
高級連れ込み宿である。
連れ込み宿のくせに 100平米超の広さの部屋があったり、
専属シェフがいたり 予約出来たり・・・
何よりも 下品な風情が微塵もないのだ。
「最初の夜は六甲北一番地にするから」 という口説きギャグが存在したくらいだ。
部屋の詳細は 緊張して覚えていない。
ワインとシェフ料理が運ばれ・・・ワインを二人で飲む、 飲む、 飲む。
しこたま酔って いたそうとしたのだが 飲みすぎた為に うにゃうにゃごごごごぴー・・・・
しばらくY氏とは会わなかった。
多分 お互い気が済んだのだと思う。
次に 久しぶりに会った時、 二人とも妙にすがすがしい顔で 未遂事件を笑いあった。
今はどうしているのだろう、 と 会社を検索してみると
増資して業務規模を拡大し 着実に業績を上げているようだ。
HPの顔写真は カメラ目線でないY氏らしいショットだった。
私の頭の中では あの「卒業写真」 が流れていた。
◆◆◆ 目次 ◆◆◆
Y氏の謝罪したい、 という趣旨の訴えと 私の気のない返事。
ある日 ポートピアホテルでイベントのバイトの帰りに
迎えに来てもらうことにした。
足になってもらえるなら 話でも聞こうか、 と。
会うと 別に怒ってもいない自分を発見した。
以後 何度ともなく食事をしたり 飲みに行ったり。
話すと 適度に楽しい。 歌を聴くと 毎回くらっとくる。
しかし あの夜のことがあるので Y氏は 明らかに冗談以上のことは言ってこない。
ある日 ショーウィンドウに飾ってある白い麻のジャケットを見て
「今着てるのより あっちのがそのスカートに合うで」 と Y氏が言った。
確かに素敵だが 値段も素敵。
自分ではもちろん買えないし 買ってもらうのもイヤだ。
固辞したが 「どんでん返しは もうないから」 と 押し切られた。
これを皮切りに Y氏は装飾品を中心に いろんなものを買ってくれた。
Y氏は競走馬を持っており 勝つ度におすそ分けだと 現金もくれた。
私から アレが欲しい コレが欲しい、 とは言わなかったが
すっかりズルさを身につけたと思う。
とはいえ 実際のところ 私はY氏を好きになっていた、 一人の男性として。
Y氏の家族だとか 私の親とか そんな深いところは考えるまでもない
「好き」ではあったが。
酔った勢いでちゅー、 そして けらけらと笑いながら するっと逃げて。
逃げずに 懐に入り込んだら どんな香りがするのだろう。
そして ある日 六甲北一番地に誘われた。
当時は そこらのシティホテルより人気のあった
高級連れ込み宿である。
連れ込み宿のくせに 100平米超の広さの部屋があったり、
専属シェフがいたり 予約出来たり・・・
何よりも 下品な風情が微塵もないのだ。
「最初の夜は六甲北一番地にするから」 という口説きギャグが存在したくらいだ。
部屋の詳細は 緊張して覚えていない。
ワインとシェフ料理が運ばれ・・・ワインを二人で飲む、 飲む、 飲む。
しこたま酔って いたそうとしたのだが 飲みすぎた為に うにゃうにゃごごごごぴー・・・・
しばらくY氏とは会わなかった。
多分 お互い気が済んだのだと思う。
次に 久しぶりに会った時、 二人とも妙にすがすがしい顔で 未遂事件を笑いあった。
今はどうしているのだろう、 と 会社を検索してみると
増資して業務規模を拡大し 着実に業績を上げているようだ。
HPの顔写真は カメラ目線でないY氏らしいショットだった。
私の頭の中では あの「卒業写真」 が流れていた。
◆◆◆ 目次 ◆◆◆
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無性に腹が立って 何も言わずに車を降りた。
交通量の少ない時間ではあったが 国道なのでタクシーはつかまるだろう。
気分的には 勢いよくずんずん歩きたいのに よろよろだ。
酔って 疲れて 眠たくて。
Y氏が のたのたと追いかけてきた。
彼も 酔ってるし 疲れているし 眠たいのだ。
待ってくれ、 と 腕をつかまれた時 急に悲しくなった。
触らないで、 手ぇ 離して。
娘の話まで出しといて・・・
怒涛の勢いで怒鳴りたいのに 声は思いのほか小さく
だんだんと泣き崩れて 何を言っているのかわからなくなった。
蹴飛ばそうとして パンプスはあらぬ場所に飛んでいってしまった。
この時 Y氏が どんな顔をして どんな反応をしたのかは 覚えていない。
翌朝...すっかり昼だったが 目覚めると そこは自宅のベッドだった。
ちゃんと化粧も落としていたし 着替えてもいた。
パンプスも両足分揃っている。
頭が痛い。
母の目が冷たい。
夕方 早い時間に店に行き、 マネージャーとママに やめることを告げた。
すっかり懲りていた。
理由は 親バレということにしておいたが
そんな言い訳は やめる側の常套句なのだろう。
ママは 私が他の店に引き抜かれたかどうかばかりを 気にしていた。
もう たくさんだ。
5日分のバイト代は 後日、 お店の指定する給料日に取りに行った。
そこで再びママに 引抜き云々の探りを入れられた。
ママもしつこいなー、 と 店を出て 生田ロードの喫茶店・上高地に入り
周りに見えないように バッグの中で こそこそと給料袋を開けてみた。
・・・・・!
5日でコレ?
慌てて明細をみる。
最初に提示された金額より 時給が1000円も高く計算されている。
今なら 引抜き防止対策だとわかるのだが
現金を見た私は 辞めたことに舌打ちした。
ちっ...
それでもこれは 思い出バイトで、
水商売を再びしようとは考えていなかった。
初めての水商売の話は これで終了。
◆◆◆ 目次 ◆◆◆
交通量の少ない時間ではあったが 国道なのでタクシーはつかまるだろう。
気分的には 勢いよくずんずん歩きたいのに よろよろだ。
酔って 疲れて 眠たくて。
Y氏が のたのたと追いかけてきた。
彼も 酔ってるし 疲れているし 眠たいのだ。
待ってくれ、 と 腕をつかまれた時 急に悲しくなった。
触らないで、 手ぇ 離して。
娘の話まで出しといて・・・
怒涛の勢いで怒鳴りたいのに 声は思いのほか小さく
だんだんと泣き崩れて 何を言っているのかわからなくなった。
蹴飛ばそうとして パンプスはあらぬ場所に飛んでいってしまった。
この時 Y氏が どんな顔をして どんな反応をしたのかは 覚えていない。
翌朝...すっかり昼だったが 目覚めると そこは自宅のベッドだった。
ちゃんと化粧も落としていたし 着替えてもいた。
パンプスも両足分揃っている。
頭が痛い。
母の目が冷たい。
夕方 早い時間に店に行き、 マネージャーとママに やめることを告げた。
すっかり懲りていた。
理由は 親バレということにしておいたが
そんな言い訳は やめる側の常套句なのだろう。
ママは 私が他の店に引き抜かれたかどうかばかりを 気にしていた。
もう たくさんだ。
5日分のバイト代は 後日、 お店の指定する給料日に取りに行った。
そこで再びママに 引抜き云々の探りを入れられた。
ママもしつこいなー、 と 店を出て 生田ロードの喫茶店・上高地に入り
周りに見えないように バッグの中で こそこそと給料袋を開けてみた。
・・・・・!
5日でコレ?
慌てて明細をみる。
最初に提示された金額より 時給が1000円も高く計算されている。
今なら 引抜き防止対策だとわかるのだが
現金を見た私は 辞めたことに舌打ちした。
ちっ...
それでもこれは 思い出バイトで、
水商売を再びしようとは考えていなかった。
初めての水商売の話は これで終了。
◆◆◆ 目次 ◆◆◆
Y氏は 当時40代前半。
ゴルフが好きで 飲んで笑うのが好きで
ゴルフと酒以外はほぼ仕事漬けで 少し腹回りが気になる
よくあるタイプの小金持ちな経営者だった。
待合せに指定されたバーに おずおずと入り 言われた通りY氏の名前を出すと
「わぁYちゃん、 彼女ほんまに来やったでー、 よかったな~」 と
ばたばたとY氏のいる席に 案内された。
Y氏は よぉ来たなぁ、 と 遠来の客を迎えるように笑い、
腹減ってへんか、 余力あれば飲めよ、 無理して飲まんでええで、 と言った。
私は 少し前にお店で食べたフルーツのせいでお腹は空いていなかったが
適度に酔っていた。
その時間のホステスなんて みんなそうだ。
私に何を話すわけでもなく カウンターの中の
さっき私を案内してくれたおねえさんと 軽く下ネタを飛ばしつつ談笑するY氏。
どの程度 会話に参加していいのかわからず 落着きなくグラスをもてあそぶ私。
「歌うで」 いつの間にか歌う段取りのY氏。
流れてきたのは 松任谷由実の卒業写真。
へぇ~、 意外なセレクト...と Y氏を眺めていた。
♪ 悲しいことがあると・・・
歌い始めたその声は Y氏の外見からは想像できない程甘く、
抑えた声量はどこまでも優しく 耳に絡みつく。
ノリよく盛り上げることなんて出来ない程のカルチャーショックで
私は いつまでも目と口を開いて Y氏を見ていた。
Y氏を思い出す度に 頭の中でBGMとして流れるのは この時のこの曲である。
「学生時代にな、 バンドでプロ目指してた」 と 歌い終わったY氏は言った。
そして 私とY氏は いくらか話をした。
楽しい時間を過すと 酒も美味しい...楽しがってるやん、 私。
しかし 時が過ぎると 気になるのは帰宅時間。
夜中の2時をすぎていた。 親バレは最も避けたいこと。
そろそろ私...と 腕時計を見ながら切り出すと
Y氏は 時間というものの存在に初めて気付いたような顔をした。
「ほんまやな、 キリないな。 帰したらんとなぁ...でも もうちょっとだけ」 と
Y氏は 私を呼び出した理由を説明したい、 と
酔いと眠気で充血した目と 少しロレツおかしな口調で言い始めた。
自分(関西では二人称を指すことが多い)なぁ、 水商売 初めてやろ?
この先 ずっとホステスするんか?
小遣い稼ぎのつもりなんやろ、 立派な大学行ってるんやし。
そやったらなぁ、 水商売に慣れる前にやめとき。
この仕事がマイナスばっかりとは言わんけどな。
私の目も 酔いと眠気で充血していたはずである。
グラスの外側を流れ落ちる雫を じっと見ていた。
俺にはな、 娘がおるんや、 今 中学生や。
女の子のおる店は好きやで。
そやけど なーんの苦労も知らん子が
一生懸命おっさんの間に入って無理に笑ってるん見るとな、
娘とだぶってもーてあかんねん。
こんな時間まで 娘が帰ってこないなんて 父親としてたまらんねん。
わかりました、 やめます。
明日お店に言います。
涙目になった私は そう答えた。
「ほな 送ったるわ」
タクシーの中でぐったりする私。 もう眠りたい。
ん...?
運転手に告げる方向が不自然な気がする。
「なぁ 寄っていこか」
ビニール製のカーテンが見えた。
...ちょっと待ってーな、 娘の話は何やったんや。
◆◆◆ 目次 ◆◆◆
ゴルフが好きで 飲んで笑うのが好きで
ゴルフと酒以外はほぼ仕事漬けで 少し腹回りが気になる
よくあるタイプの小金持ちな経営者だった。
待合せに指定されたバーに おずおずと入り 言われた通りY氏の名前を出すと
「わぁYちゃん、 彼女ほんまに来やったでー、 よかったな~」 と
ばたばたとY氏のいる席に 案内された。
Y氏は よぉ来たなぁ、 と 遠来の客を迎えるように笑い、
腹減ってへんか、 余力あれば飲めよ、 無理して飲まんでええで、 と言った。
私は 少し前にお店で食べたフルーツのせいでお腹は空いていなかったが
適度に酔っていた。
その時間のホステスなんて みんなそうだ。
私に何を話すわけでもなく カウンターの中の
さっき私を案内してくれたおねえさんと 軽く下ネタを飛ばしつつ談笑するY氏。
どの程度 会話に参加していいのかわからず 落着きなくグラスをもてあそぶ私。
「歌うで」 いつの間にか歌う段取りのY氏。
流れてきたのは 松任谷由実の卒業写真。
へぇ~、 意外なセレクト...と Y氏を眺めていた。
♪ 悲しいことがあると・・・
歌い始めたその声は Y氏の外見からは想像できない程甘く、
抑えた声量はどこまでも優しく 耳に絡みつく。
ノリよく盛り上げることなんて出来ない程のカルチャーショックで
私は いつまでも目と口を開いて Y氏を見ていた。
Y氏を思い出す度に 頭の中でBGMとして流れるのは この時のこの曲である。
「学生時代にな、 バンドでプロ目指してた」 と 歌い終わったY氏は言った。
そして 私とY氏は いくらか話をした。
楽しい時間を過すと 酒も美味しい...楽しがってるやん、 私。
しかし 時が過ぎると 気になるのは帰宅時間。
夜中の2時をすぎていた。 親バレは最も避けたいこと。
そろそろ私...と 腕時計を見ながら切り出すと
Y氏は 時間というものの存在に初めて気付いたような顔をした。
「ほんまやな、 キリないな。 帰したらんとなぁ...でも もうちょっとだけ」 と
Y氏は 私を呼び出した理由を説明したい、 と
酔いと眠気で充血した目と 少しロレツおかしな口調で言い始めた。
自分(関西では二人称を指すことが多い)なぁ、 水商売 初めてやろ?
この先 ずっとホステスするんか?
小遣い稼ぎのつもりなんやろ、 立派な大学行ってるんやし。
そやったらなぁ、 水商売に慣れる前にやめとき。
この仕事がマイナスばっかりとは言わんけどな。
私の目も 酔いと眠気で充血していたはずである。
グラスの外側を流れ落ちる雫を じっと見ていた。
俺にはな、 娘がおるんや、 今 中学生や。
女の子のおる店は好きやで。
そやけど なーんの苦労も知らん子が
一生懸命おっさんの間に入って無理に笑ってるん見るとな、
娘とだぶってもーてあかんねん。
こんな時間まで 娘が帰ってこないなんて 父親としてたまらんねん。
わかりました、 やめます。
明日お店に言います。
涙目になった私は そう答えた。
「ほな 送ったるわ」
タクシーの中でぐったりする私。 もう眠りたい。
ん...?
運転手に告げる方向が不自然な気がする。
「なぁ 寄っていこか」
ビニール製のカーテンが見えた。
...ちょっと待ってーな、 娘の話は何やったんや。
◆◆◆ 目次 ◆◆◆
実は貴子になる前、 ほんの数日 クラブで仕事をしたことがある。
大学2回生の夏のこと。
三宮を歩いていて スカウトされたのだ。
当時の私は 第三者からの見た目自己評価について
大きく勘違いしたものだが
若い子の場合 愛想とノリがよければ使い物にはなるのである。
クラブだった。
口座システムこそなかったが
同伴ノルマや 「おニュー・ディ」、 髪のセット等
いろんなきまりがあった。
バイトは それらを遵守しなくてもよかったが
いくつか 難しくないことを指導された。
ニットはダメだとか 爪は必ず塗るように 等々。
バイトは私の他に二人。
本職ホステス達は みんな 文字通り 「ぴかぴか」 だった。
私より 一つ年上だと言った一人でさえ
異質な世界のお姉さん という雰囲気。
そして接客が始まると 映画やTVでよく見る光景が展開されていた。
ほんまにお客さんのことを 「たーさん」 とか呼ぶんやぁ・・・
と、 どうでもいい所に気を取られているものの
初日は 笑っていることしか出来なかった。
結局 このクラブで過したのは 5日。
「うちのお客さんは 上品よ」 と 最初にママが言った通り
お客さんは ほとんどが紳士だった。
笑うだけだったのが
少しは会話に加わることができるようになったその5日目、
毎回 顔を合わせた一人のお客さん、 Y氏に
店が終わった後で、 と 誘われたのである。
◆◆◆ 目次 ◆◆◆
大学2回生の夏のこと。
三宮を歩いていて スカウトされたのだ。
当時の私は 第三者からの見た目自己評価について
大きく勘違いしたものだが
若い子の場合 愛想とノリがよければ使い物にはなるのである。
クラブだった。
口座システムこそなかったが
同伴ノルマや 「おニュー・ディ」、 髪のセット等
いろんなきまりがあった。
バイトは それらを遵守しなくてもよかったが
いくつか 難しくないことを指導された。
ニットはダメだとか 爪は必ず塗るように 等々。
バイトは私の他に二人。
本職ホステス達は みんな 文字通り 「ぴかぴか」 だった。
私より 一つ年上だと言った一人でさえ
異質な世界のお姉さん という雰囲気。
そして接客が始まると 映画やTVでよく見る光景が展開されていた。
ほんまにお客さんのことを 「たーさん」 とか呼ぶんやぁ・・・
と、 どうでもいい所に気を取られているものの
初日は 笑っていることしか出来なかった。
結局 このクラブで過したのは 5日。
「うちのお客さんは 上品よ」 と 最初にママが言った通り
お客さんは ほとんどが紳士だった。
笑うだけだったのが
少しは会話に加わることができるようになったその5日目、
毎回 顔を合わせた一人のお客さん、 Y氏に
店が終わった後で、 と 誘われたのである。
◆◆◆ 目次 ◆◆◆