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貴子という名前での生活がありました
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りつ子ママと三人が面接した夜、 OK組の治子から電話があった。
オープニング要員となった里香と共に あの後
りつ子ママの知り合いのセレクトショップに連れて行かれたそうな。

2人とも 試着室に篭ったまま 次々に持ってこられた服を
着せ替え人形のように着た挙句 それぞれ1着ずつ持ち帰ったとのこと。
値札を見て 不安そうな顔をすると りつ子ママがウィンクして
「気にせんでええよ」 と 言ったらしい。
「大人っぽいのを無理して着るから いもくさくなるねん、 って言われたわ」と
楽しそうな声の治子。
数日後に また別の店で服を用意するらしく、
「りつ子ママって ぽんぽん言うけど いい人よね」 と 治子は続ける。
源氏名を決めた、 とか 彼氏には内緒にする、 とか
治子の声は興奮していた。

お嬢さん風に仕上がった治子と里香と共に
開店に向けてのミーティングに幾度となく参加した。
もちろん 私たちの他にもホステスはたくさんいる。
私や里香のようなオープニング要員も何名もいるのだが、
誰がそうだかなんて 興味がなかった。

ミーティングは レジャー会社の担当であるO部長が中心となってすすめられる。
O部長に初めて会った時、 りつ子ママは
「本当はこの子を チーフ(ちいママ)にしたかったのよ」 と
実際に チーフに決まっていたホステスの前で 私を紹介した。
苦笑いするしかなかった。

りつ子ママは私だけを常に特別扱いにした。
別に他の女性と 友達になりたいとは思わなかったけれども
健全なコミュニケーションが阻害されそうな程だった。
そして O部長もまた何故か私を贔屓し、 それを周りに隠そうとしなかった。

りつ子ママはともかく、
私だけを車で送るO部長の存在は ヒロの気に障ったようだ。
どっち向いてもめんどくさい状況に囲まれてしまった。
どんな条件を出されても オープニングしか手伝わないよ、 と
ヒロに 繰り返し言うしかなかった。


開店までカウントダウンが始まった頃、
りつ子ママからポートピアホテルに呼び出された。
車で来てくれ、 と言う。
声が妙にくぐもっている。
言われた通り 私は 指定された部屋に向かった。


そこには 半裸でベッドに横たわるりつ子ママと
見知らぬ大柄な女性が1人いた。
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