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- 12/31 目次
- 07/19 23.イワサキさん その2
- 07/12 22.イワサキさん その1
- 07/05 21.カレシが水商売な人だったら
- 06/09 20. カノジョがホステスだったら
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この状況は何なのか、把握するのに時間がかかったけれど
結局のところ、りつ子ママの虫歯が悪化して 痛みで動けない、というだけの話。
一緒にいた女性はりつ子ママの妹さんだった。名前は忘れた。
「腹違いやけどな」とぽつりと付け加えられ
どう反応していいのかわからなくて まぬけな顔をしていたと思う。
一番早く診療できるところ予約して、時間が決まったらそこまで連れていって、と
保険証と携帯電話が渡された。
投げやりな口調と動作。
保険証には 私が知っているりつ子ママの名前ではない名前があった。
これが本名だということだ。
年齢が 聞いていたものより3つ上だった。
ポートピアホテルからすぐ近くの病院の予約をすぐに取る事ができた。
私が予約電話をしている間 りつ子ママは部屋の電話で声を荒げながら誰かと話をしていた。
病院予約が簡単に終わったので 私はその内容のほとんどを聞く事になった。
りつ子ママが話していたのはホテル側の方。
連泊しているために追加料金の支払いを求められて逆切れしている格好。
中内会長と知合いだから優遇しろ、と言っていた。
いわゆるクレーマー状態である自覚は 彼女にはないようだが
私は自分がよろしくない渦の近くにいることを完全に知った。
妹さんはタバコを吸って冷蔵庫のものを飲むだけで何もしない。
何も言わない。
ホテル側が結論を先延ばしにする形で話は終わったようで
ふらふらとほほを押さえたりつ子ママは洗面所にこもり
化粧をして歯医者に行く用意を始めた。
妹さんと二人きり。
彼女は小柄で細身のりつ子ママと姉妹とは思えないほど巨漢。
女豹系のきつい顔のりつ子ママと全く似ていない。
「ママの歯、痛そうですよね」と言葉を探して口に出してみたら
「んー」と返ってきただけだった。
車で行くほどでもない距離の病院に送り届け、私は一旦は解放された。
店の開店が翌日という日。
ミーティングの後 またもや一人だけ残された。
O部長が私に何か言いかけた時
「この子は今日は私と予定あるから誘えませんよ」とりつ子ママ。
BOX席のストールに座り おもむろにバッグを開け 小さな箱を私の前に置いた。
この前はありがとう、助かったわ、とりつ子ママ。
「あんたは私の妹ということにするから」と箱の中から
ルビーにメレダイヤがあしらわれた指輪を出した。
「私の妹がちゃんとした指輪の一つもないのはあかん。
店に出るときはこれつけといて」
ものを受け取ることで確実にNOが言えない状況になることは理解できたが
当時の私はどう断ればいいのかわからなかった。
りつ子ママの話はさらに続く。
「この後 紹介したい人がいるから一緒に来て」
NOと言って続くめんどくさそうなことと
YESといってやり過ごすことを天秤にかけ
後者以外に選択肢はないように思えた。
◆◆◆ 目次 ◆◆◆
結局のところ、りつ子ママの虫歯が悪化して 痛みで動けない、というだけの話。
一緒にいた女性はりつ子ママの妹さんだった。名前は忘れた。
「腹違いやけどな」とぽつりと付け加えられ
どう反応していいのかわからなくて まぬけな顔をしていたと思う。
一番早く診療できるところ予約して、時間が決まったらそこまで連れていって、と
保険証と携帯電話が渡された。
投げやりな口調と動作。
保険証には 私が知っているりつ子ママの名前ではない名前があった。
これが本名だということだ。
年齢が 聞いていたものより3つ上だった。
ポートピアホテルからすぐ近くの病院の予約をすぐに取る事ができた。
私が予約電話をしている間 りつ子ママは部屋の電話で声を荒げながら誰かと話をしていた。
病院予約が簡単に終わったので 私はその内容のほとんどを聞く事になった。
りつ子ママが話していたのはホテル側の方。
連泊しているために追加料金の支払いを求められて逆切れしている格好。
中内会長と知合いだから優遇しろ、と言っていた。
いわゆるクレーマー状態である自覚は 彼女にはないようだが
私は自分がよろしくない渦の近くにいることを完全に知った。
妹さんはタバコを吸って冷蔵庫のものを飲むだけで何もしない。
何も言わない。
ホテル側が結論を先延ばしにする形で話は終わったようで
ふらふらとほほを押さえたりつ子ママは洗面所にこもり
化粧をして歯医者に行く用意を始めた。
妹さんと二人きり。
彼女は小柄で細身のりつ子ママと姉妹とは思えないほど巨漢。
女豹系のきつい顔のりつ子ママと全く似ていない。
「ママの歯、痛そうですよね」と言葉を探して口に出してみたら
「んー」と返ってきただけだった。
車で行くほどでもない距離の病院に送り届け、私は一旦は解放された。
店の開店が翌日という日。
ミーティングの後 またもや一人だけ残された。
O部長が私に何か言いかけた時
「この子は今日は私と予定あるから誘えませんよ」とりつ子ママ。
BOX席のストールに座り おもむろにバッグを開け 小さな箱を私の前に置いた。
この前はありがとう、助かったわ、とりつ子ママ。
「あんたは私の妹ということにするから」と箱の中から
ルビーにメレダイヤがあしらわれた指輪を出した。
「私の妹がちゃんとした指輪の一つもないのはあかん。
店に出るときはこれつけといて」
ものを受け取ることで確実にNOが言えない状況になることは理解できたが
当時の私はどう断ればいいのかわからなかった。
りつ子ママの話はさらに続く。
「この後 紹介したい人がいるから一緒に来て」
NOと言って続くめんどくさそうなことと
YESといってやり過ごすことを天秤にかけ
後者以外に選択肢はないように思えた。
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