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- 12/31 目次
- 07/19 23.イワサキさん その2
- 07/12 22.イワサキさん その1
- 07/05 21.カレシが水商売な人だったら
- 06/09 20. カノジョがホステスだったら
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ラウンジSは無事にOPENした。
店の初日というのは どこも関係者で埋まるもの。
一見さんはほとんど来ないと思っていたら 予想外のご来店があり
慌ただしく忙しく派手なオープニングとなった。
水商売デビューの治子と里香も 緊張した笑顔でスタート。
それでも案ずるより産むが易し、元々おしゃべりが好きなので
緊張は解けていったようだ。
ロッカー室で すれ違った里香に「どう?」と聞くと
「なんとかやってるー」と明るい声が返ってきた。
私は りつ子ママの持ち客の席につくことが多かった。
「私の妹」と紹介されながら。
りつ子ママもO部長も 挨拶で忙しい。
あちこちの席を行ったり来たりで 二人ともちっとも落ち着かなかったけれど
これはこれで店のオープニングとしては成功といえる。
3日間は大盛況だった。
オープンから1週間経ったある日、
出勤するとりつ子ママと男性がBOX席で向かいあっていた。
店のオープンには早い時間帯で まだ店の照明が煌煌と明るく
黒服たちもネクタイをしていない状態で作業をしていた。
控え室に向かう私に りつ子ママは機嫌がよさそうな声で
準備ができたら席に来るように言った。
男性は オープンにも来て下さった りつ子ママのお客様。
背が低く小太り、口数は少なく穏やかに飲むタイプ。仕事は宝石商。
テーブルの上にはベルベットの内張りのあるアタッシュケースが広げられ
いくつもの宝石が並んでいた。
「ねえ、どっちがいいと思う?」
右手にメキシコオパール、左手にピンクサファイヤを光らせて りつ子ママが問いかける。
華奢な指にごろりとした指輪。台座が厚く 特徴的な細工を施してある。
りつ子ママからもらったルビーの指輪は
そのアタッシュケースに入っていたものだと悟った。
赤い偏光のメキシコオパールを指差し、今日のりつ子ママにはこっちですね、と言うと
りつ子ママは「じゃ、これにするわ」と小悪魔な笑顔を男性に向けて立ち上がり
あらゆる角度から石の光り具合を確かめながら店の奥へ消えていった。
残された宝石商はアタッシュケースをしまい、静かに出口に向かう。
「社長、終わり頃来てねー」とりつ子ママが奥から叫ぶと
宝石商は嬉しそうな表情になった。
照明が絞られ 店がオープンする。
オープニングの3日間の騒がしさは落ち着いていた。
店が終わると りつ子ママにホストクラブに連れて行かれつつ
2週間は過ぎていった。
更に2週間 延長して欲しいと言われたけれど、きっぱり断った。
「時々でいいから手伝いに来てな?」と言われたが
ホストクラブを含むりつ子ママのごり押しに
なんだかんだでつきあったのも 2週間というリミットがあってこそ。
治子に 私は辞めるけどがんばってね、と告げると
「今度同伴してね」と言われた。
人気も出て 今やすっかり自信がつき、2週間前とは別人のように大人っぽくなった。
「紹介してくれてありがとう」とも言われた。
この話はここで終われば良かったのだが。
◆◆◆ 目次 ◆◆◆
店の初日というのは どこも関係者で埋まるもの。
一見さんはほとんど来ないと思っていたら 予想外のご来店があり
慌ただしく忙しく派手なオープニングとなった。
水商売デビューの治子と里香も 緊張した笑顔でスタート。
それでも案ずるより産むが易し、元々おしゃべりが好きなので
緊張は解けていったようだ。
ロッカー室で すれ違った里香に「どう?」と聞くと
「なんとかやってるー」と明るい声が返ってきた。
私は りつ子ママの持ち客の席につくことが多かった。
「私の妹」と紹介されながら。
りつ子ママもO部長も 挨拶で忙しい。
あちこちの席を行ったり来たりで 二人ともちっとも落ち着かなかったけれど
これはこれで店のオープニングとしては成功といえる。
3日間は大盛況だった。
オープンから1週間経ったある日、
出勤するとりつ子ママと男性がBOX席で向かいあっていた。
店のオープンには早い時間帯で まだ店の照明が煌煌と明るく
黒服たちもネクタイをしていない状態で作業をしていた。
控え室に向かう私に りつ子ママは機嫌がよさそうな声で
準備ができたら席に来るように言った。
男性は オープンにも来て下さった りつ子ママのお客様。
背が低く小太り、口数は少なく穏やかに飲むタイプ。仕事は宝石商。
テーブルの上にはベルベットの内張りのあるアタッシュケースが広げられ
いくつもの宝石が並んでいた。
「ねえ、どっちがいいと思う?」
右手にメキシコオパール、左手にピンクサファイヤを光らせて りつ子ママが問いかける。
華奢な指にごろりとした指輪。台座が厚く 特徴的な細工を施してある。
りつ子ママからもらったルビーの指輪は
そのアタッシュケースに入っていたものだと悟った。
赤い偏光のメキシコオパールを指差し、今日のりつ子ママにはこっちですね、と言うと
りつ子ママは「じゃ、これにするわ」と小悪魔な笑顔を男性に向けて立ち上がり
あらゆる角度から石の光り具合を確かめながら店の奥へ消えていった。
残された宝石商はアタッシュケースをしまい、静かに出口に向かう。
「社長、終わり頃来てねー」とりつ子ママが奥から叫ぶと
宝石商は嬉しそうな表情になった。
照明が絞られ 店がオープンする。
オープニングの3日間の騒がしさは落ち着いていた。
店が終わると りつ子ママにホストクラブに連れて行かれつつ
2週間は過ぎていった。
更に2週間 延長して欲しいと言われたけれど、きっぱり断った。
「時々でいいから手伝いに来てな?」と言われたが
ホストクラブを含むりつ子ママのごり押しに
なんだかんだでつきあったのも 2週間というリミットがあってこそ。
治子に 私は辞めるけどがんばってね、と告げると
「今度同伴してね」と言われた。
人気も出て 今やすっかり自信がつき、2週間前とは別人のように大人っぽくなった。
「紹介してくれてありがとう」とも言われた。
この話はここで終われば良かったのだが。
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