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貴子という名前での生活がありました
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貴子になって程なく、
私と美代は お客さんの人気を二分するようになった。
なんのことはない、 目新しかっただけなのだが
面白くないのは 他の女性達。
ありがちでドラマにもならない話だが「いじめ」を受けるようになった。

妬むほどのモンじゃなかろうに、 と
私は 特に気にはしなかったのだが
美代はすっかり参っていた。
そして 寒々しい空気を敏感に感じ取って
私たち二人に 何かと気を使ってくれたのは 黒服のヒロとやまちゃんだった。

彼らも学生アルバイトなのだが
私の目から見て バイトの領域をすっかり越えた 縁の下の立役者。
体育会系丸出しのヒロと
クールな外見とギャグ好きのやまちゃん。
いいコンビで 彼らと会話するのを楽しみにしているお客さんも多数いた。

美代は それまで腐れ縁のように付合い続けていた彼氏と
いよいよ危なくなっていた。
「もう ええねん」 と 言っていたが
どうやら ヒロに惚れたのが 「もう ええねん」 の原因だったようだ。
美代は そうは言わなかったが 誰の目から見ても それは明らかだった。

なのに ある日 私は勢いでヒロと寝てしまったのだ。

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