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貴子という名前での生活がありました
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別にキャバ嬢でもいいのだけど
私がキャバクラシステムのお店で仕事はしたことがないので。

ヒロと知り合ったのは芦屋のラウンジA、一種の職場恋愛なので
最初から私はホステスだった。
仕事中は 彼の目の前で私はお客さんの横に座り 楽しげにふるまうこととなる。

イヤじゃないのかな、と思ったこともあったけれど
ヒロは 私が媚びるタイプでないことを知っているし
何よりも お客様から人気があることをとても喜ぶ人だった。

同伴するときも ラウンジAのお客さんなら ヒロは100%把握していたので
美味しい店だったら教えてな、とか
やらしいことされたら言うんやで、など イヤごとは何も言わないので
私は何も隠す必要がなかった。

バイトを離れたヒロは、都合が合う限り 私をどこにでも連れていった。
部活の試合、友達とのランチ、 家族でどこかに行く時等々。
飲み物を配ったり お祝い事で花を届けたり、
汚れた灰皿はめざとく替えたり、ということを ついやってしまうのを
「友達のカノジョ連中で一番気が利く」と自慢する人だった。
私が水商売のバイトをしていることは 伏せていた。

話が前後するが、彼の家にも嘘みたいに早い段階で連れて行かれ
いきなり夕食をいただき ヒロのお父さんと一升瓶をあけて盛り上がり
「ヒロの新しいカノジョは酒が強い」と
九州男児なヒロのお父さんにとても気に入られた。
それをまた嬉しそうに友達に話すヒロ。

ヒロがいやがることは、ヒロと一緒でない時の私の帰宅が遅くなること。
「女の子が何かあったらどうするねん」とのこと。
完全に保護者だった。

飲み屋で仕事をしているくせに
「毎日毎日こんなところでお金使うんだったら、俺なら
 自分の彼女とか 結婚してたら嫁さんに金使うぞ」とよく言っていた。

黒服とホステスのバイトでは、明らかに黒服の方が少ないのだが
ヒロもやまちゃんも それぞれに人気があり
「これでカノジョと美味しいもの食べや」とチップを下さるお客さんも多かった。
そして チップをもらうと あそこに行こう、ここに行こう、と
一緒に楽しむことに使っていた。

表裏のないプラス思考で体育系。ヒロはそんな人。
好きな人に対して どきどきするばかりだった私は
初めて 好きな人と一緒に過ごすことの心地よさを知った。

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