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貴子という名前での生活がありました
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芦屋のお店は 連日オープンからクローズまで 盛況だった。
盛り上がるから楽しいのか、楽しいから盛り上がるのか、
にわとり&玉子の議論が起こる時間もないほど
店は忙しく 活気にあふれていた。

ある日 イワサキさんという初めての方が一人でご来店された。
空席は カウンターに1席しかなく
ヒロが「広い席が空きましたらご案内しますので」と手際よくセッティングすると
忙しそうやなあ、と満足そうにつぶやき ボトルを選んだ。

女の子たちは既に各席に振り分けられてしまっていた後。

そんな時はヒロの出番。
初対面から馴染みまで、ヒロはその距離をとるのが上手い。
体育会で鍛えられた上下礼節を含めて お客様の居心地をぐっと良いものにするのは
商売上素晴らしい特性である。

店の中が少し落着き、私がカウンターのイワサキさんの前に立った時には
彼らは車の話ですっかり盛り上がっていた。

それからイワサキさんは 定期的にご来店されるようになった。
ヒロと話し込むのが一番の楽しみのように見えた。

イワサキさんの歳の頃は30代後半。
いつもポロシャツなスポーツカジュアルだけど ゴルフ三昧なタイプには見えない。
席についた時に 仕事について軽く振ってみたら 見事にかわされた。
それ以上聞くなオーラを感じた私は 以来 直接聞いたことはない。

程なく イワサキさんはヒロと店外でも会うようになった。
いつもなら 私と一緒にいるタイミングに
「イワサキさんと約束あるから」と言われることが増えた。
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